迷いの時間も力に変えて〝日常〟を書き続ける2022年に自費出版したエッセイ集『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』で話題の作家、小原晩さん。京王沿線の描写も多数登場する同作は、自費出版として異例のヒットを記録。2024年には商業出版へと至りました。前職は美容師。高校在学中から目指していた憧れの職業でしたが、退職することに。 「退職後の数年間は、貯金を切り崩しながらの生活で、生きる気力すらありませんでした。そんな中、貯金が底をつく前にやりたいことをやろうと選んだのが、エッセイの執筆だったんです。当時はエッセイをよく読んでいて、私も自分の生活を率直な言葉で残したいなと。そこで生まれたのが、仕事をサボり、ビルとビルの間で唐揚げ弁当を食べる日々を綴った表題作でした」自費出版に際して23篇を執筆し、装丁や書店への売り込みまでほぼすべての作業を一人で行ったそう。 「地道に売り込みを続けた結果、無名だった私の本を取り扱ってくれた書店の一つが、地元・八王子の『古書むしくい堂』さんです。『次は商業出版になるよ』と早い段階から背中を押してくれた店主さんの言葉が、執筆活動を続けていく励みになりましたね」現在は書籍の執筆に加え、雑誌連載や寄稿でも存在感を増しています。 「今後は小説や詩にも力を注ぎ、表現の幅を広げていくつもりです。でも、一貫して描きたいのは、『身の回りの生活』。そこにしっかり軸足を置いて、書き続けていきたいです」11京王沿線で自分らしく輝く人の、気になる“ 等身大の暮らし”。第4回は、八王子市出身の注目の若手作家・小原晩さんです。「古書むしくい堂」には『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』1,760円(実業之日本社)ほか、小原さんの著書コーナーが。私家版サンプルも展示中!新新たたなな表表現現をを切切りり開開くくあありりふふれれたた毎毎日日をを描描ききななががらら、、Profile小原 晩/おばら ばん。1996年生まれ、八王子市出身。2022年に自費出版したデビュー作をきっかけに、作家活動を開始。等身大の日常を描く作風が共感を呼んでいる。Vol.4 京王八王子作家2023年刊行の商業出版デビュー作。初めての一人暮らしや同棲、友人との共同生活など、移ろう暮らしの断片が“ほのおかしく” 描かれています。『これが生活なのかしらん』1,650円(大和書房)。撮影場所はこちら「古書むしくい堂」小原 晩小原 晩 さんさん ああ のの 人人 にに 聞聞 くく
元のページ ../index.html#11