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開発秘話開発者が語る「新型5000系」の軌跡

座席指定列車導入のきっかけをつくった立役者の1人であり、
車両の設計・デザインを手がけた「車両電気部 若松課長」にお話を伺います。

鉄道部門が一体となったプロジェクトチーム
その結成なくして、5000系の導入はあり得ませんでした

座席指定列車として使用する新型車両5000系の導入経緯について

【Q】導入のきっかけを教えてください

他社線との競争激化や少子高齢化の進行など外部環境の変化が激しい中、通勤利用者やご高齢のお客様からの「座って帰宅したい」というご要望にお応えするため、座席指定列車としての導入の検討が2014年夏ごろから始まりました。
過去にも数回導入を検討した記録が残っていますが、断念したと聞いています。今回は、当時とは状況も変わっており、なにより鉄道部門が一体となったプロジェクトチームを結成し、その中で熱い議論を行い、様々な課題をクリアしたことが座席指定列車(以下5000系)導入に繋がった最大の要因だと思います。

  • 【Q】どういう熱い議論があったのでしょうか?

    プロジェクト内で私は、既存車両を改造するよりも新造車両として座席指定列車を導入する方が大手鉄道会社としてインパクトがあることなどから、車両を新造することを提案したのですが、その時は反対意見もありました。しかし、話し合いをしていく中で、当社初の座席指定列車導入には、やはり「京王電鉄の従来イメージを変える車両」がふさわしいのではないかという意見が大勢となり、私の提案が通りました。
    その後、他社でも新造車両を使用した座席指定列車のサービスが発表されていく中で、あの時に諦めなくてよかったと思ったものです。(笑)

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開発する上でのこだわり

【Q】デザインは社内投票としたそうですが、早い段階からデザインのイメージがあったのですか?

「従来イメージの刷新」が大前提にありましたので、まず車両デザインを考えました。早期にデザイン案を複数検討し、社内投票を実施したことは、社内の座席指定列車導入のモチベーションを上げるためであり、狙い通り上層部やプロジェクトチ―ムはもちろん、多くの社員の期待感・高揚感を高めることができたと思っています。会社全体で課題感を持ってこのプロジェクトを進めていけたことは重要だったと思います。

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  • 【Q】デザインの中でも象徴となる「正面形状」についてお聞かせください

    先頭車両のデザインを考える時、ノーズ(先端形状)を長くしたデザインが映えるため、どの程度まで長くできるか、車両基地の留置状況や駅のホームなどを検証しました。最大2mまで延伸可能でしたが、ホームや車両間の干渉具合を検証した結果、先頭車両を約500mmまで延伸することが最適であることがわかりました。今までの京王電鉄車両には無かった形状ですから、実際の車両をご覧になると、その500mmが生み出す大きな違いを感じていただけると思います。

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  • 【Q】デザインの他にも特徴的な設備である「転換式座席」の開発についてお聞かせください

    座席指定列車として使用する時はクロスシート、通常列車として使用する時はロングシートの両方に使用できる転換式座席は、総合車両製作所と他社の特急列車に導入実績があるコイト電工とゼロから共同開発を行いました。
    その結果、ロングシートの状態から楕円を描くように座席を回転させてクロスシートにする方法を採用し、乗り心地の向上と故障リスクの軽減の追及を目指し、3度もの試作を行った上で完成に結び付けました。

    【Q】配色では前面の「スカート」がピンクなのが目立ちますね

    当初デザインでは、正面下部と同じ色(シルバー)になる予定でした。京王レッドに塗色した方が良いのではと思いついたのは、正面から見た時の色合いや雰囲気が寂しいのではないかと感じたからです。ピンクのスカートでありながらも、ノーズのシャープなラインが格好良かったりするので、けい太くん(8000系をモチーフにした京王電鉄キャラクター)のようにキャラクターを作るのであれば女の子になるのか、男の子になるのか気になるところですね(笑)

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通常列車運行開始を控えて、そして座席指定列車運行に向けて

【Q】これから多くの方の目に触れるかと思いますが、新型車両を見るオススメスポットはありますか?

カーブを抜けてホームに入ってくる時の、艶やかで美しい佇まいを見ていただきたいですね。高尾山の山々をバックに走る姿や、青空のもと多摩川の橋梁を渡る姿などは車両が綺麗に見えるのではないでしょうか?

【Q】最後に、現在の心境を聞かせてください

新しい車両をご覧になったみなさんが、「京王電鉄へのイメージが変わった」と驚かれています。そう言っていただける車両を、各部門の技術・知識の結集によって実現できたことを非常に嬉しく思っています。整備を20年、設計を20年担当してきて感じるのは、新しい車両を製作することは、培った技術を後輩に伝承することでもあるということです。来春の座席指定列車運行に向けて、ここからが本当のスタートだと考えております。

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