環境への主な取り組み
カーボンニュートラルの実現

- 鉄道におけるCO₂排出量削減の取り組み
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電車の加速力や速度などに応じて、電圧や周波数を変化させながら効率よく動かす「VVVFインバータ制御装置」を1992年に初めて導入以降、継続的に導入を進め、2012年に全営業車両のVVVFインバータ制御化を大手民鉄で初めて完了しました。
また、電車がブレーキをかけた際に発生する回生電力を駅設備で使用される電力に変換して、駅の照明や空調、エスカレーターなどに供給する駅舎補助電源装置を導入しています。現在、東府中駅、高幡不動駅、北野駅、めじろ台駅、若葉台車両基地に導入しています。

- 電気バス・燃料電池バスの運行
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京王グループのバス事業では、電気バスおよび燃料電池バスを導入しています。
電気バスは、バスに搭載したバッテリーに貯めた電気でモーターを駆動させ、CO2等の排気ガスを排出せずに走行するほか、バス自体が大型の電源施設となり、災害時などに電気を供給する機能も有しています。
燃料電池バスは、水素と大気中から取り込んだ酸素の化学反応により発電した電気をモーターの駆動に使用します。
いずれも環境にやさしいバスであり、滑らかな加速や静粛性を兼ね備えています。

- 実質再生可能エネルギーの導入
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京王グループにて所有または運営管理する「京王プラザホテル(新宿)」「京王プレッソイン」全店舗、「京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター」では、使用する電気の全てを実質再生可能エネルギー由来の電力に切り替えています。(2025年9月現在)
本取組み等により、使用電力量のうち、4.8%まで再エネ比率が向上しております。
- 太陽光発電・風力発電マップ

- 回生ブレーキ
回生ブレーキとは、電車がブレーキをかけた際にモーターを発電機として作動させ、発生した電力を架線に戻すことで他の電車が使えるようにする装置です。当社では1999年に京王線・井の頭線全車両への装備を完了しました。
- 回生電力貯蔵装置
電車がブレーキをかけた際に発生する回生電力を蓄電し、電車が走行する際の電力として供給する装置です。2015年に堀之内変電所に導入しています。

- 駅舎補助電源装置
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電車がブレーキをかけた際に発生する回生電力を駅設備で使用される電力に変換して、駅の照明や空調・エスカレーターなどに供給する装置です。東府中駅・高幡不動駅・北野駅・めじろ台駅・若葉台車両基地に導入しています。
- 上下線一括き電線化
上り線と下り線のき電線(電車に電気を供給する線)を接続することで、回生ブレーキで発生した電気を他の電車に最短ルートで送り、電気を送る際の損失低減を図ることができる設備です。当社では、2012年に井の頭線で、2021年に高尾線で整備しました。

- 車上蓄電池システム
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電車がブレーキをかけた際に発生する回生電力を車上の蓄電池に蓄え、電車が走行する際の電力として供給します。 2017年に5000系車両に導入しています。

- 太陽光発電システム
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2001年から明大前駅や若葉台駅などで、駅の照明や自動券売機などの業務用電力の一部として活用しています。また、永福町駅では、2010年に通路の屋根に自然光を採り込むことができる透過式の太陽光パネルを設置し、駅ビルの電力として利用している他、2013年には、高幡不動乗務区・施設管理所、京王れーるランドに太陽光発電システムを導入し、施設内の電力として利用しています。

- 駅などのLED照明
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駅舎・ホームや車両の客室内に、従来の照明設備に比べて大幅に消費電力を削減できるLED照明の導入を進めています。また、調布駅付近の地下化にあわせて、トンネル内の照明設備にもLEDを用いています。明るさは変わらずに交換サイクルが長くなることから、廃棄物の削減にもつながっています。

- 車両のLED照明
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車両の客室内照明を蛍光灯からLED へ置き換えるとともに、車両前照灯の LED化を進めています。これにより、明るさは変わらずに消費電力が従来に比べ約2分の1になる他、長寿命のため交換サイクルが長くなることから廃棄物の削減にもつながります。

- 自然採光
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ホームやコンコースの屋根に自然採光の工夫を行うことで、照明の消灯に努めています。
- 駅設備の電源・運転自動制御
照度センサーやタイマーによる照明の自動制御の他、お客さまが近づくと人感センサーにより電源が入る自動券売機、自動運転するエスカレーターなどの設置を進めています。

- 環境に配慮した鉄道現業事務所
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2013年に、高幡不動駅の敷地内に、太陽光発電システムなど13種類の環境に配慮した設備を組み合わせて活用した、鉄道現業の事務所(高幡不動乗務区・施設管理所)を開設しました。従来の施設と比べて、約30%の省電力と節水を実現しています。

- 環境配慮型の変圧器
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脱化石資源・低炭素社会に配慮し、 CO₂排出量を従来に比べ約65%削減できる変圧器(電車の運行に必要な電気を供給する装置)を上北沢変電所に2基、駒場東大前変電所に1基、長沼変電所に1基導入しています。
- 地下駅空調設備の省エネ運用
新宿駅や調布駅などの地下駅において、空調・換気設備の省エネ運用を 2020年4月から進めています。空調機などの設定温度を適正化した他、これまで夏季期間に常時運転していた空調設備を、室内温度に応じて運転を抑制するなどにより、消費電力量を削減しています。
- 省エネ運転エスカレーターの導入
一定時間ご利用がない場合に、運転速度を減速または自動的に停止する機能のあるエスカレーターを導入しています。これにより、従来より最大約35%の消費電力削減が図れます。
- 遮熱・断熱フィルム
夏の冷房期、冬の暖房期に約10%の節電効果が期待される遮熱・断熱フィルムを電車の窓に順次貼り付けています。京王線では724両、井の頭線では145 両の客室内に整備しています。
- ZEH-Mへの取り組み
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不動産業における環境配慮の取り組みの一つとして、2024年以降竣工予定物件における新築分譲マンションへ、ZEH-M*の導入拡大を検討してまいります。
*Net Zero Energy House Mansion(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)の略。断熱性・省エネ性能を上げること、太陽光発電などでエネルギーを創ることにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をプラスマイナス「ゼロ」(もしくはゼロに近づける)にすることを目指した集合住宅を指します。
- テナントへのグリーンリース
テナントの皆さまと協働し、省エネルギーおよび環境関連の法令等への対応や廃棄物削減などを推進しています。
- ビル管理システムの導入
当社が管理する以下の物件では、エネルギーの使用状況や設備の稼働状況を一括管理しています。これにより、最適な運転計画の策定・実施や、詳細な監視と制御を通じて、エネルギー消費量の削減を目指しています。
代表的な導入物件:京王品川ビル、京王プラザホテル新宿など
不動産施設の管理・運営
テナントの皆様との協同により、施設全体のエネルギー利用の効率化や適切な廃棄物管理を推進します。
資源循環
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京王グループでは、限りある資源を活用し、事業活動におけるリサイクル・イノベーション等を通じて循環型社会の実現を目指します。
- 環境配慮型リノベーションファンドの組成(リビタ)
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株式会社リビタでは、株式会社日本政策投資銀行およびDBJアセットマネジメント株式会社と、新たにリノベーションマネジメン トの仕組みを導入した環境配慮型リノベーションファンドを組成し、運用を開始しています。当ファンドは、リノベーションノウハウ を持つリビタと、金融と不動産に多様なチャネルを持ち、「DBJ Green Building認証※1」など独自の環境認証を持つDBJグ ループが協業することにより、老朽化した賃貸物件を環境配慮型不動産としてバリューアップして市場へ再流通させることを目的 としています。リノベーションマネージャー※2による良質な住戸を提供し続ける仕組みを導入することで、「リノベーション×ESG 投資」によるサステナブルな社会の実現を目指します。
※1 環境・社会への配慮がなされた不動産とその不動産を所有・運営する事業者を支援する取り組みとして2011年4月にDBJが創設した認証制度
※2 ファンドの保有物件に対して、建物の改修・バリューアップのサポートを継続的に行う役割を指します

- 車両・部品洗浄水の節水
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若葉台工場では、車両や部品の洗浄などに用いる水の使用量を削減するため、「処理水再利用装置」を導入しています。この装置で、使用済みの水の汚れを取り除く他、工場内の湧水を活用し、洗浄水などに再利用しています。現在、洗浄に用いる水の半分以上はこの装置により処理されたものです。また、若葉台車両基地と高幡不動車両基地内に、洗浄に使用する水を約50%削減できる車両洗浄装置を導入しています。
- 車両のリニューアル・再生(京王重機整備)
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京王重機整備では、現役車両のリニューアル工事や京王電鉄等を引退した車両の再生化工事を実施しています。全国の鉄軌道事業者ごとのニーズに合わせて改造し、再生を図ることで、全国各地の「地域の足」として快適に利用していただいています。新造車両同様に再生した転用改造車両を、新造車両よりも安価で提供しており、1984年以降の納車車両数は220両以上にのぼっています。
リサイクル

- きっぷ
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各駅で回収された使用済みきっぷを100%リサイクルすることを目標にしています。(2024年度実績:100%)なお、きっぷは全駅のトイレットペーパーの一部としてリサイクルして使用しています。
- ペットボトル
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2002年から、駅売店などで回収された飲料用ペットボトルをリサイクルし、駅の案内板として使用しています。

- 間伐材を使用したベンチ
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2016年から、一部の駅に木の温かみを感じられる木製ベンチを設置しています。素材には、多摩地域で発生した間伐材を使用しています。

- 食品リサイクルループの構築(京王プラザホテル)
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京王プラザホテルでは、厨房から排出される野菜の切れ端・端材などの食品廃棄物を鶏の飼料としてリサイクルする取り組みを行っています。2025年2月からは、その飼料で育った鶏の卵を仕入れ、朝食のオムレツなど一部のメニューに使用してお客様に提供することで、「食品リサイクルループ」を構築しています。この仕組みにより、従来の廃棄物削減だけでなく、循環型の資源利用を促進し、環境負荷の低減に寄与しています。
- 節水トイレ
駅のトイレには、節水効果のある便器を順次導入しています。
- 雨水利用システム
永福町駅では、旧地下道を雨水貯留槽として再利用し、建物に降った雨水を集めて、駅トイレの洗浄水の一部に利用しています。
自然共生社会
京王グループは、自然との共生社会や地域社会への貢献に寄与する活動を積極的に行っています。

- ツバメのフン受け板の設置
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2014年から、ツバメが巣作りをする春から初夏にかけて、 駅の設置可能な箇所に取り付けています。ツバメのフンでお 客様にご迷惑をおかけしないこと、またツバメの生息環境に も配慮した生物多様性施策の一環です。


- レンゲショウマ保全
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御岳登山鉄道は、御岳山に群生し絶滅危惧種に指定されて いる山野草「レンゲショウマ」の保全活動として、みたけ山観光 協会などと協力し、群生地での下草刈りやハイキングコース の整備を行っています。
社外表彰実績等

- 「森林×ACTチャレンジ2025」グランプリ受賞について
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当社では、北海道に所有する森林(約300ha)の整備や、「京王水源の森」における森林保全作業への参加、「京王あそびの森HUGHUG<ハグハグ>」や高尾山口駅での多摩産材の活用、「高尾の森親子森林体験スクール」での環境プログラムの実施など、環境保全や環境意識向上につながる活動を行ってきました。この度、これらの取り組みが高く評価され、林野庁が主催する「森林×ACTチャレンジ2025」において、グランプリ(農林水産大臣賞)を受賞しました。なお、鉄道事業者による受賞は全国初となります。
「森林×ACTチャレンジ」とは:森林の適切な整備・保全に貢献する企業や団体等の優れた取り組みを顕彰する制度です。
- 省資源・省エネルギー化
2000年には、当社のリサイクル活動への取り組みが評価され、「平成12年度リサイクル推進功労者等表彰」(リサイクル推進協議会実施)において、運輸大臣賞を受賞しました。2015年には、車両の省エネルギー化や回生電力の有効活用など、環境保全に関する活動に積極的に取り組んだ点が評価され、国土交通大臣表彰「平成27年交通関係環境保全優良事業者等大臣表彰」を受賞しました。

- 省エネ大賞(経済産業大臣賞)受賞
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当社、株式会社京王設備サービス、株式会社イーアンドイープラニングは2021年度省エネ大賞の省エネ事例部門・輸送分野において、最高賞の経済産業大臣賞を受賞しました。これは夏季に多くの電力量を消費する地下駅の空調設備に着目し、調布駅をモデルケースにホーム・コンコースの環境の最適化を図りながら運用改善を行いました。鉄道事業における駅舎管理において安全を確保しつつ、大幅な省エネルギー化の実現や、エネルギーの無駄を分析しました。大きな投資なしに改善に結びつけた先駆的な取り組みが高く評価された受賞となりました。
- ISO14001(環境マネジメントシステム)認証の取得状況
2025年8月現在、「ISO14001」については当社グループ(当社および連結子会社)40社のうち7.5%にあたる3社で取得しております。