立体交差化と踏切の安全対策

運転保安の向上のため、線路と道路の立体交差化や踏切の整理統合を行ってきました。特に連続立体交差化については、1964年に京王線の新宿駅~初台駅間の地下化を皮切りに、1993年に長沼・北野駅付近を、1994年には府中駅付近をそれぞれ高架化し、また2012年8月には、調布駅付近を地下化し、線路と道路の連続立体交差化を実現しました。
この結果、踏切数は1955年度の322カ所から2022年度末には135カ所に減少しました。
現在、事業主体である東京都とともに京王線(笹塚駅~仙川駅間)の連続立体交差事業を進めています。
この他、踏切に各種保安装置を設置し、保安度の向上に努めています。

  • 連続立体交差事業
    連続立体交差事業は2カ所以上の幹線道路を含む多くの道路と鉄道を連続的に立体化するものであり、道路整備の一環として施行する都市計画事業です。
種類別踏切数の推移
凡例 1種甲:自動遮断機を設置し終日遮断するもの 1種乙:警手を配置して初電から終電まで遮断するもの 3種:踏切警報機を設置しているもの 4種:踏切道を示す警標のみ設置しているもの 総数:1955年322(内訳:1種甲は3、1種乙は24、3種は47、4種は248)。1990年166(内訳:1種甲は165、1種乙は1、3種・4種は0)。1996年以降は1種甲のみとなり、総数157。1998年156。2011年154。2012年136。2023年135

京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業

事業主体である東京都と協力し、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業を実施しています。この事業の完成により、笹塚駅~仙川駅間の約7.2kmを高架化し、25カ所の踏切を廃止するとともに、放射第23号線(井ノ頭通り)などとの立体交差化を図ります。

笹塚駅から仙川駅間の事業区間を8つに区分した平面図。工事は、用地取得状況に応じて、着手していきます。
工事状況
  • 代田橋駅付近
    (第1工区)
  • 明大前駅付近
    (第2工区)
  • 桜上水駅付近
    (第4工区)
  • 千歳烏山駅~仙川駅間
    (第8工区)

踏切の安全対策

遮断機が下りている踏切のイラストに、踏切支障報知装置(非常ボタン)、全方向型警報機、カラー舗装化、くぐりぬけ防止啓発テープ、踏切監視カメラ、踏切障害物検知装置(エリア検知式)、スリット型踏切遮断棹(自転車などによる折損防止のために屈折可能なもの)の7つの安全対策箇所を示した図

踏切障害物検知装置

踏切での列車と自動車などとの接触事故を未然に防止するため、91カ所の踏切に踏切障害物検知装置を設置しています。踏切内に何らかの障害物を検知すると、運転士に異常を知らせるとともに、付近の列車を自動的に停止させます。また、踏切障害物検知装置が未設置の踏切道には高機能踏切障害物検知装置を新設し、更なる安全性向上を図ります。

踏切支障報知装置(非常ボタン)

踏切支障報知装置(非常ボタン)

踏切での列車と自動車などとの接触事故を未然に防止するため、全ての踏切に踏切支障報知装置(非常ボタン)を設置しています。踏切内で閉じ込められるなどの緊急事態が生じた場合、ボタンを押すと、運転士に異常を知らせるとともに、付近の列車を自動的に停止させます。

踏切の歩道部のカラー舗装化やくぐりぬけ防止啓発テープ

踏切歩道部のカラー舗装化・くぐりぬけ防止啓発テープ

踏切内における歩行者の安全を確保するため、歩道のある全ての踏切で車道と歩道を明確に区分するカラー舗装化を行っています。また、遮断中の踏切内への立ち入りを防ぐため、全ての踏切にくぐりぬけ防止の啓発テープを設置しています。

定時間警報装置

朝間ラッシュ時間帯などで、列車が先行列車に接近すると速度が低下し、踏切の遮断時間が長くなり過ぎてしまうため、踏切が閉まり始めるタイミングを遅らせる定時間警報装置を導入しています。
朝間ラッシュ時間帯に遮断時間が長くなりやすい京王線の調布以東の踏切に整備しています。

踏切監視カメラ

踏切監視カメラ

踏切事故の防止や事故発生時などの状況確認を行うため、踏切に監視カメラの設置しています。

列車種別選別装置

京王線は6種類(ライナー、特急、急行、区間急行、快速、各駅停車)、井の頭線は2種類(急行、各駅停車)の列車種別があります。
速度の速い列車に踏切の警報開始点を合わせると、踏切の遮断時間が長くなり過ぎてしまうため、列車の種別や速度に合わせて踏切を制御する列車種別選別装置を設置し、踏切の遮断時間短縮に努めています。