コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方

 当社グループでは、「京王グループ理念」に掲げる 「信頼のトップブランド」の確立を目指し、「京王グループ行動規範」に基づき、「住んでもらえる、選んでもらえる沿線づくり」を進めています。特に鉄道事業においては、皆様から信頼され、愛される鉄道になるため、「安全に関する基本方針」および「安全に係る社員の行動規範」を定め、全社員が一丸となって安全文化の構築に取り組んでいます。

 鉄道事業者として、安全と事業の継続性を確保しながら、「京王グループ理念」に基づき、透明性・公正性を確保しつつ、迅速・果断な意思決定を行うことにより、株主の皆様をはじめつながりあうすべての人からの信頼を確保し、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をはかるため、当社では基本方針に基づき、コーポレート・ガバナンスの充実・強化を推進してまいります。

コーポレート・ガバナンス基本方針

  1. 株主の権利・平等性の確保
    • 当社は、様々な株主の権利とその平等性が実質的に確保されるよう、必要な情報を適時適切に開示するとともに、株主がその権利を適切に行使することができる環境整備を行う。
  2. 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
    • 当社は、会社の持続的な成長と企業価値の創出は、つながりあうすべての人により支えられていることを十分に認識し、ステークホルダーと誠実に向きあい、適切な協働に努めるとともに、健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に努める。
  3. 適切な情報開示と透明性の確保
    • 当社は、当社の定める「ディスクロージャー・ポリシー」に則り、法令に基づく情報開示を適時適切に行うのみならず、法令に基づく開示以外の情報提供やその有用性の向上に主体的に取り組む。
  4. 取締役会等の責務
    • 当社の取締役会は、当社グループの経営戦略について方向付けを行うとともに、定められた経営陣幹部に対する委任の範囲において、実効性の高い経営監督を行う。
    • 当社の取締役は、株主に対する受託者責任・説明責任を常に意識し、当社の定める「経営判断原則」に則った適切な過程を踏んだ意思決定を行う。
    • 取締役会の諮問機関としてガバナンス委員会および指名・報酬委員会を設置し、グループ・ガバナンスの向上や経営の透明性確保をはかる。
  5. 株主との対話
    • 当社は、平素から株主との間で建設的な対話を行い、株主の声に耳を傾け、その関心・懸念に正当な関心を払うとともに、経営陣幹部は自らの経営方針を株主に分かりやすい形で明確に説明し、株主を含むつながりあうすべての人の立場に関するバランスのとれた理解を得る努力を行う。
  6. 本基本方針の制定・改廃
    • 取締役会の決議をもって行う。

コーポレート・ガバナンスの体制の概要および当該体制を採用する理由

 当社は、監査等委員である取締役が取締役会の構成員として取締役会での議決権を持ち、監査機能を担いつつ、取締役会の業務執行の監督機能の実効性を高めることで、取締役会の透明性・公正性の向上をはかることを目的とした監査等委員会設置会社です。また、執行役員制度を導入しており、機動的な意思決定と業務執行をはかることで当社グループを取り巻く経営環境の変化に、迅速に対応できる体制を構築しています。

 当社では、社外取締役(監査等委員を除く。)について、大手金融機関の経営者としての経験や見識を持つ社外取締役を2名選任するとともに、監査等委員である社外取締役について3名選任し、経営に対する監督機能を強化しているほか、取締役会の諮問機関としてガバナンス委員会および指名・報酬委員会を設置し、経営の透明性・公正性の向上に努めています。

 監査等委員会については、監査等委員会による監査の実効性を高めるため、財務・会計・法務に関する相当程度の知見を有する、独立性の高い監査等委員である取締役を選任しているほか、監査等委員会と会計監査人、内部監査部門および内部統制部門との連携体制を構築しています。さらに、沿線を中心とした事業の多角的な展開による総合力の発揮を目指す当社は、取締役会のメンバーに主要なグループ会社社長を加えているほか、グループ会社の社長等をメンバーとするグループ経営協議会や京王グループ社長会の開催、ならびに、グループ監査役会の開催等を行うことで、グループ・ガバナンス体制の充実をはかっています。

 以上のことから、当社のコーポレート・ガバナンス体制は十分機能していると認識しています。

コーポレート・ガバナンス体制(2024年6月26日現在)

主な会議体・委員会の説明

取締役会

 現在社外取締役5名および主要なグループ会社の社長3名を含む15名(うち監査等委員である取締役4名)で構成しており、原則として毎月1回開催し、法令で定められた事項はもとより経営上の重要な事項についての決議や業務執行の監督を行っております。

2023年度の主な決議事項および報告事項
  • 株主総会に関する事項(株主総会の招集、事業報告・計算書類等の承認 等)
  • 役員等に関する事項(役員の選定・異動 等)
  • 企業統治に関する事項(取締役会の実効性評価、上場株式保有検証結果、委任に関する事項、内部監査報告、内部統制報告書の提出 等)
  • 子会社等に関する重要事項(株式取得、商業施設運営事業の再編 等)
  • 重要な人事に関する事項
  • 2024年度経営計画、決算の承認公表、配当金の支払
  • サステナビリティ経営に関する事項(体制構築、人権方針 等)
  • 鉄道の安全への取組み状況、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業進捗
  • 新宿駅西南口地区開発計画に関する事項

経営会議

 常勤取締役と常勤執行役員で構成する経営会議では、取締役会で決定された方針に基づき、経営上の重要事項についての審議決定を行っております。

監査等委員会

 現在社外取締役3名を含む4名で構成しており、原則として毎月1回以上開催し、取締役の職務執行の監査を行うほか、監査等委員である取締役が取締役会その他重要な会議に出席し、構成員として取締役会での議決権を持ち、監査機能を担いつつ、取締役会の業務執行の監督機能の実効性を高めております。

ガバナンス委員会

 取締役会の任意の諮問機関として、社外取締役(監査等委員を除く。)および常勤の監査等委員である社外取締役を含むメンバーで構成されるガバナンス委員会を設置し、社外取締役の視点を交えて当社グループの企業戦略等やガバナンス体制について審議を行うとともに、代表取締役、社外取締役の連携を強化し、グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上をはかっております。

指名・報酬委員会

 取締役会の任意の諮問機関として、社外取締役(監査等委員を除く。)を含むメンバーで構成される指名・報酬委員会では、役員の人事、報酬について審議し、取締役会に答申を行うことにより、経営の透明性確保をはかっております。

コーポレート・ガバナンス体制の変遷

取締役のスキル・マトリックス

 当社では、事業特性を鑑み、企業価値向上に貢献しうる豊富な経験と能力を有する社内出身の取締役と、ガバナンス強化の観点から、経営者としての経験や見識を有する社外取締役、財務・会計・法務に関する専門知識を有する監査等委員である社外取締役、業務執行者を適切に監査・監督できる常勤の監査等委員である取締役により取締役会を構成することとしています。なお、下記の一覧表は、各氏の有するすべてのスキル・経験を表すものではありません。

役員報酬

 当社は2020年6月26日開催の第99期定時株主総会(以下、「同株主総会」といいます。)において、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬額を年額4億2,000万円以内、うち社外取締役分4,000万円以内と決議しており、監査等委員である取締役の報酬額を年額1億3,000万円以内と決議しており、以下の方針を定めております。

役員の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針

1.基本の構成

 取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く。)の報酬等については、基本報酬、事業年度ごとの業績に連動する年次業績連動報酬および株式報酬により構成し、社外取締役および監査等委員である取締役の報酬については、職務内容等を勘案し、基本報酬のみを支払うこととする。

2.基本報酬の個人別の報酬等の決定に関する方針

 当社の取締役の基本報酬は、月例の固定報酬とし、役職位等を勘案し、職責に応じ適切な水準とする。

3.年次業績連動報酬に係る業績指標の内容および当該業績連動報酬の額又は数の算定方法の決定に関する方針

 年次業績連動報酬は、事業年度ごとの業績に連動する指標として、当該年次の連結経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益の達成状況を反映させて算定し、基本報酬にあわせて支給する。額の算定にあたっては、指名・報酬委員会に諮問し、審議を経て決定する。変動の範囲については、年次業績の評価の標準値に対して下限は-100%、上限は役位に応じて+30%~+90%とする。

4.株式報酬の内容および額又は数の算定方法の決定に関する方針

 株式報酬は、中長期的な業績向上および株主価値の最大化に貢献する意識を高めることを目的に、当社が金銭を拠出することにより設定する信託を用いて、各取締役に付与するポイントの数に相当する数の当社株式を交付する。ポイントは取締役会で定める株式交付規程に基づき、役位等に応じたポイントを付与する。付与されたポイントに応じた当社株式の交付は、原則として取締役の退任時とする。

5.基本報酬、年次業績連動報酬および株式報酬の額の取締役の個人別の報酬等の額に対する割合の決定に関する方針

 基本報酬、年次業績連動報酬、株式報酬の額および割合は、上記項目2.3.4の方針に加え、当社が鉄道事業を中心とした公共性の高い事業を営んでいることを踏まえて決定している。割合については、年次業績の評価が標準値の場合に、役位に応じて基本報酬が56%~72%、年次業績連動報酬が8%~24%の範囲とし、株式報酬については20%とする。

6.取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する事項

 個人別の報酬額については、取締役会の任意の諮問機関である指名・報酬委員会で審議の上、取締役会の決議により、代表取締役社長に一任する。代表取締役社長は、指名・報酬委員会の審議内容を尊重し、株主総会で決議された取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬額の範囲内で、各取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬額を決定する。なお、監査等委員である取締役の報酬については、株主総会で決議された報酬額の範囲内で、監査等委員である取締役の協議により決定する。

7.執行役員の個人別の報酬等の決定に関する方針

 執行役員の個人別の報酬等の決定は、本方針に記載の取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く。)に関する方針を準用する。

役員の報酬等の総額(2023年度)

区分 報酬等の総額
(百万円)
報酬等の種類別の総額(百万円) 対象となる役員の員数(名)
基本報酬 年次業績連動報酬 非金銭報酬等
取締役 (監査等委員である取締役および社外取締役を除く) 348 217 49 80 9
監査等委員 (社外監査等委員を除く) 36 36 - - 1
社外取締役 70 70 - - 6
  • 2024年3月31日現在の人員は取締役(監査等委員を除く。)11名、監査等委員4名、計15名です。
  • コロナ禍における厳しい経営環境を勘案し、2023年6月まで取締役(非常勤の社外取締役を除く。)の報酬について役位に応じて10%~30%の報酬返上を行っておりました。上記に記載の金額は当該返上後の金額です。

取締役会全体の実効性の確保

 当社は、監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能の強化と、迅速かつ果断な意思決定が可能となる体制の構築を目指しています。
 当社の実効性評価では、事務局作成のWebでの匿名によるアンケートを実施し、その結果および運営状況等の定量情報についてガバナンス委員会で分析・評価を行い、取締役会に報告しています。この結果、当社の取締役会の実効性は確保されていると認識しております。なおガバナンス委員会は取締役会の任意の諮問機関であり、社外取締役を含むメンバーで構成されています。
 アンケートは、取締役会の「構成」「運営」「審議事項」「意思決定・監督機能」「取締役会事務局による支援体制」「役員自身の取組み」について、4段階の評点方式とし、その理由の記載を求めることで課題の抽出に努めています。これらに加え、2023年度は重点項目としていた取締役会事務局による支援体制の強化に関する記述項目を設けました。
 実効性向上施策として、2023年度は、「取締役会の監督機能の充実・強化」「取締役会事務局による支援体制強化」を重点テーマとして取り組みました。取締役会における審議の活性化を目的に、メリハリを意識した取締役会の運営や決裁基準見直しについて検討しましたが、さらなる検証や議論を要すると判断し、継続課題としております。また、役員に対して、経営陣として必要な知識に関する外部セミナーを案内し、役員の自己研鑽機会を提供しました。
 2024年度は、「環境の変化に対応すべく、中長期的な課題を議論するための体制を整備する」ことを重点テーマとし、コーポレート・ガバナンス強化、審議時間の確保、役員トレーニングの充実などに取り組み、取締役会のさらなる実効性向上に努めてまいります。

社外取締役のサポート体制

 取締役会の開催にあたっては、事前に議案書を社外取締役を含む全取締役に配付するほか、必要に応じて事前説明を行っています。社外取締役(監査等委員である取締役を除く。)への情報提供等のサポートは、秘書室および経営企画部で行っており、当社事業に関する一層の情報提供に努めてまいります。また、監査等委員である社外取締役への情報提供等のサポートは、監査等委員会室で行っています。

政策保有株式に関する考え方

 当社は、鉄道事業を中心に公共性の高い事業を営んでおり、中長期的な視点での成長が重要であると考え、当社グループの事業の継続や、企業価値の向上に資すると判断した企業の株式を政策的に保有しております。

 保有額は、中期的に連結純資産の10%以内に縮減することを目指し、安定した事業運営への寄与や取引関係の維持・強化の可能性などの定性的観点、および株価変動のリスクや資本コストなどの定量的観点に基づき、総合的に検証しております。検証の結果、保有意義や経済合理性が認められない株式については売却を検討し、保有株式の縮減に努めます。

 なお、毎年取締役会において、保有する上場株式について、当社の上場株式の保有基準に基づき、事業の継続と企業価値向上の観点から保有意義の検証を行っております。

 また、議決権の行使にあたっては、中長期的な企業価値向上の視点に立ち、株主価値を著しく毀損させるものでないか等を個別に検証した上で、総合的に賛否を判断いたします。