社員の健康とエンゲージメント
社員がイキイキと働きがいを感じながら成長していく環境づくりに向けて、健康維持増進やエンゲージメント向上に取り組んでいます。
エンゲージメント
エンゲージメント調査
当社は「エンゲージメント」を重要な経営課題と認識しております。社員と会社の成長の方向性が一致し、お互いが貢献し合えるような関係性の構築を目指して、経営トップ層からのビジョン発信の強化や会社全体の課題に対する諸制度の見直し、各職場での取り組みを継続して推進しています。
従業員のエンゲージメントの状況の正確な把握と、個人・組織それぞれにおける課題を探るため、毎年エンゲージメント調査を実施しています。
「仕事」「職場」「会社」それぞれに対して、自らの力を発揮しようとする自発的な貢献意欲を定量的に把握するとともに、「挑戦を認め、失敗を許容する組織風土」を測る重要な指標として、「職場の心理的安全性に関するスコア」に着目しています。
モニタリング指標(単体) | 目標 | 2024年度実績 |
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トータルエンゲージメント※1 | 3.5点以上/5点満点 | 3.54 |
職場の心理的安全性スコア※2 | 3.5点以上/5点満点 | 3.51 |
- ※1外部の調査専門会社が提供するエンゲージメント調査サービスにおける評価指標で、「一人ひとりが今の仕事や職場・会社で働くことに意味や価値を感じ、自ら貢献する意思をもって働いているか」などの度合いについて、当社全社員を対象とした調査結果を点数化したもの(3.5点以上が「良好」)です。
- ※2※1と同様の評価指標で、「職場にはお互いを尊重し、協力し合う雰囲気や何でも言い合える安心感があるか」などの度合いについて、当社全社員を対象とした調査結果を点数化したもの(3.5点以上が「良好」)です。
エンゲージメント向上へのサイクル
調査結果を基に顕在化した課題解決のための取り組みを「会社施策」と「職場別の施策」の両輪で回しており、下記の図のサイクルを繰り返し実施することで、組織内のエンゲージメントを向上させています。
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- 見える化
- エンゲージメント調査の実施
- 従業員のエンゲージメントを見える化
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- 課題分析・設定
- 部課長・現業長による自職場の課題分析
- 調査結果をもとにエンゲージメントを阻害する要因を分析する
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- 成果の検証・
モニタリング - アンケートや1 on 1の実施
- 取り組みの実施状況や効果を検証
- 成果の検証・
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- 対処・実行
- 各職場で取り組みの実施
会社全体の課題は諸制度の見直しを実施 - 課題解決に向けて取り組みを検討、実施する
社員の健康(安全衛生)に関する取り組み
健康経営宣言
地域社会の人々に安全・安心を提供し、幸せな暮らしを実現するためには、
社員一人ひとりがいきいきと働くことが欠かせないという考えのもと、
わたしたちは社員とその家族の「心と身体の健康づくり」を推進します。
- お互いを思いやり、積極的にチャレンジできる組織風土をつくることで心の健やかさと充実感を高めます。
- より良い生活習慣の支援や、労働環境の整備を行い病気やケガのない健康な身体づくりに取り組みます。
- 自身とその家族の心身の健康を最も大切なものと捉え幸せな暮らしを実現します。
健康経営
健康経営は人財戦略の土台となる重要な課題であるとの認識のもと、従前から社内診療所が主体となって保健指導の強化やメンタルケアの拡充を実施してきました。2023年5月から定年年齢を65歳に引き上げたことを契機として、改めて健康経営に対する姿勢を経営的視点から明文化するため、健康経営宣言を制定しました。また、健康意識の向上を目的に定期健康診断の結果から健康年齢の通知を開始したほか、一定の年齢に達した社員に無償で脳ドックを受検できる制度を導入するなど、新たな施策にも積極的に取り組んでいます。
安全衛生の考え方
当社では、労働基準法、労働安全衛生法および就業規則第101条に基づき、会社における安全衛生活動の充実を図るための基本事項を定め、社員の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的に「安全衛生管理規則」を定め、安全衛生管理に取り組んでいます。
安全衛生向上の取り組み
当社では、安全衛生活動計画に基づき、次の研修等(京王KYT(社内危険予知訓練)研修によるコーディネーター育成、安全衛生のひろば、衛生管理者免許取得支援 など)を開催し、産業医・安全衛生管理者・外部講師による教育を行っています。
その他、安全衛生管理規則に基づき請負業者の安全衛生に関する指導および監督も適宜実施しています。
推進体制
当社では社員の健康づくりにあたり、人事部分担役員を中央総括安全衛生管理者とし、産業医や診療所、人事部が中心となって全社的な取り組みを推進しています。中央安全衛生会議では、死亡災害、重大災害等発生時における原因の調査および再発防止のための措置の審議等、安全衛生に関する重要事項を審議・決定し、代表取締役社長 社長執行役員へ報告することとしています。また、人事部長を安全衛生担当部長とし、鉄道部門と本社部門それぞれに総括安全衛生管理者をおき、各職場の状況に合わせて健康増進施策に取り組んでいます。
労働災害含む鉄道安全事項の報告
鉄道の安全への取り組み状況(従業員の労働災害の有無などを含む)については拡大鉄道安全管理委員会で審議され取締役会に報告されています。
安全衛生委員会
当社グループでは、労働安全衛生法を遵守しており、全社的な安全衛生および労働災害防止に関する事項および、健康増進と快適な職場環境の形成について調査・審議しています。また各社・各事業場で従業員が参加する安全衛生委員会等を構成しています。当社では、人事部長である安全衛生担当部長を委員長、管理職や現業長からなる安全管理者、職場ごとの従業員から選任された衛生管理者、労働組合代表者、産業医などを構成員とする「安全衛生委員会」を毎月1回以上開催しており、安全衛生に関する議題を審議しています。
安全な職場づくりに向けた新規•既存事業におけるリスク評価
安全衛生管理体制のもと、新規・既存事業における危険性または有害性等の調査およびその結果に基づく措置、安全衛生活動計画の作成、実施、評価、改善を行います。また、健康診断を実施するとともに、長時間労働社員に対する面接指導の実施により、健康の保持増進等の措置を講ずることとしています。
安全衛生に関するデータ
単位 | 範囲 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | ||
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死亡災害件数 | 件 | 連結 | 0 | 0 | 0 | |
死亡災害件数 | 件 | 単体 | 0 | 0 | 0 | |
契約社員 | 件 | 単体 | 0 | 0 | 0 | |
休業災害度数率 | - | 単体 | 1.11 | 1.62 | 0.90 | |
(参考)全産業 全国平均※ | - | - | 2.06 | 2.14 | 2.10 | |
(参考)運輸業・郵便業 全国平均※ | - | - | 4.06 | 3.95 | 3.55 | |
安全衛生に関する研修受講人数 | 人 | 単体 | 161 | 199 | 190 |
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- 出典:「令和6年労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の概況」(厚生労働省)
- ●ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)認証の取得状況
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- 2025年8月現在、「ISO45001」※については当社グループ(当社および連結子会社)40社のうち2.5%にあたる1社で取得しております。
- 労働安全衛生マネジメントシステムOHSAS18001(Occupational Health and Safety Assessment Series)は2021年3月にて廃止となり、ISO45001に移行されました。
外部からの評価
経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人認定制度」において、当社は「健康経営優良法人2025」(大規模法人部門)に認定されています。
健康経営の実績と目標
当社では、京王グループ社員の健康保持・増進と疾病の予防を図るため、京王電鉄診療所を開設し、定期健康診断、各種検診、医療相談の他、内科診療も実施しています。これらの取り組みを通して特に以下の項目について課題ととらえ、各種施策を展開しています。
- 健康経営の目標
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肥満率の減少
39.2% 35%未満
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喫煙率の減少
24.3% 20%未満
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運動習慣者率の増加
23.0% 25%以上
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項目 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
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肥満率 | 38.1% | 39.4% | 39.2% |
喫煙率 | 25.6% | 24.3% | 24.3% |
運動習慣者率 | 17.8% | 22.9% | 23.0% |
労働災害件数 | 23件 | 27件 | 30件 |
定期健康診断受診率 | 100% | 100% | 100% |
メンタル不調による休職者の割合(全従業員に占める割合) | 1.4% | 1.2% | 1.7% |
- 数値は電鉄単体
主な取り組み
がん発見への取り組み
健康保険組合と連携して血液検査による胃がんリスク健診を実施するとともに、レントゲンや胃内視鏡を用いた胃がん検診を勧奨しています。また、大腸がん検診キットの対象全社員への配布を行っています。
心のケア

ストレスチェックにおいて高ストレスと判定された社員には産業医との面談を促すとともに、職場ごとの傾向を分析し環境改善につなげています。また、メンタル面で不安を抱える社員には産業医や専門医による医療相談や職場の支援を実施。必要に応じて外部医療機関と連携し治療につなげているほか、鉄道事故に遭遇した現業社員への心理的支援を強化し、心的外傷後ストレス障害防止に取り組んでいます。
健康年齢の提供による健康意識の向上
毎年実施している定期健康診断の結果数値を基に「健康年齢※」を算出する取り組みを導入しています。産業医が行う法令上の健康指導・監督に加えて、健康年齢をはじめとした各種指標を分かりやすく提供することで、社員の健康づくりに対する意識向上や行動改善のきっかけづくりに寄与しています。
- 定期健康診断の結果から必要な医療費を予測し、これが何歳に相当するかを評価する統計指標。(株式会社JMDC提供)
脳ドックの実施
50歳、60歳を迎える社員を対象に、脳ドックを無償で受診できる制度を導入しています。現場第一線で活躍する多くの社員が、より安心して働くことのできる環境づくりに努めています。
運動機会の提供

京王グループ社員を対象とした野球大会、ボウリング大会など様々なスポーツイベントを実施しています。また2013年からは沿線内外の皆様も参加する「京王駅伝フェスティバル」を開催しており、社員はじめ幅広い世代の方に手軽にスポーツを楽しんでいただく取り組みをしています。この他、社員有志による運動系クラブ(サッカー、スキー等16種類)も積極的に活動しています。
その他の取り組み
産業医や外部講師による衛生講演会や、現業部門での健康管理及び労災削減に向けた取り組み(SAS予防、熱中症対策ファン付き作業着)、女性特有の課題に対する支援策(フェムテック)、若メタボ対策、長時間労働の是正や休暇取得の促進など、多方面で対策に取り組んでいます。