虻川 勝彦Abukawa Katsuhiko

経営統括本部 デジタル戦略推進部長
1995年入社/経済学部卒

たとえば「感性AI」。京王グループは実は、
すでに先進的なデジタルサービスを
数々展開している。

いま社会では、デジタル技術によってビジネスモデルを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されています。京王グループも、私が責任者を務めるデジタル戦略推進部が牽引役となり、ITを駆使して新たな価値を提供するサービスの開発に力を入れて取り組んでいます。
実は京王グループは、ITの領域においても先進的なビジネスを数々繰り広げてきた企業です。たとえば20年ほど前、まだ世の中でブロードバンドのインターネット回線が十分に整備されていなかった頃、鉄道線路沿いに敷設された光ファイバーケーブルを利用して、沿線の企業のお客様に向けて高速大容量の通信サービスをいち早く開始。

当時、まだ若手だった私はこの新事業を担い、ネットワークの設計構築から顧客開拓にまで関わって起ち上げに奮闘しました。また、業界に先駆けて路線バス全車両内にWi-Fiを導入したり、高速バス予約システム(ハイウェイバスドットコム)を提供して全国のバス会社様やお客様にご利用いただいています。あるいはAmazonが開発したAI(人工知能)による音声認識サービス「Alexa(アレクサ)」で電車の運行状況の確認や高速バスの予約ができる仕組みをいち早く実現するなど、最新のテクノロジーを使ってお客様の利便性を高めるユニークなサービスを次々と展開してきました。

未来を見据えてAIを活用した新ビジネスにも挑んでおり、2018年には「感性AI株式会社」というベンチャーを設立。これは、京王沿線にある国立大学法人電気通信大学の坂本真樹教授と共同で起ち上げた企業です。坂本教授は、独自のAIで人間の感性を数値化する研究に取り組んでおり、その成果をもとに企業の課題解決を支援するビジネスなどを展開しています。身近な例で言えば、アサヒ飲料様の朝専用缶コーヒー「ワンダ モーニングショット」のパッケージには、感性AIが「人がもっと前向きになれる色」と判断した赤が採用されています。さらに最近では、会議での発言内容からAIが「場の空気」を読み、空間の照明や音楽、香りなどをコントロールしてストレス緩和や共感性促進を図る“FUWAKIRA”という技術も開発。こうした人間の感性をAIで測る技術を、今後は育児や介護など暮らしに密着したシーンにも展開し、京王グループの事業とのシナジーによって人々の生活の質の向上につなげていきたいと考えています。

リアルな場を持っていることが私たちの強み。
そこに
デジタルをどう活用し、
お客様の生活を向上させるか。

今後、京王グループが社会の変化に対応してさらに発展していく上で、デジタルの重要性はますます高まっています。京王グループはこれまで、駅や百貨店、SC(ショッピングセンター)などのリアルな場でのお客様との接点を大切にしてビジネスを営んできました。しかし、新型コロナウイルス感染症の発生以降、人々の生活様式が変わりつつあります。感染防止のために移動を控え、人との接触を避けるようになると、リアルな場でのビジネスだけではお客様のニーズにお応えできない。デジタル技術を駆使してネットでお客様とつながり、お客様の暮らしに価値を提供していく仕組みをいっそう築き上げていかなければなりません。
かといって、単にECを展開するだけでは、競合ひしめくネットの世界では差別化できません。京王グループとしての強みは、やはりお客様と接するリアルな場を持っていること。必要な商品やサービスが必要な時に手に入る場があるからこそ、お客様も安心して生活できる。それをサポートしていくことが、京王グループが追求すべきデジタル戦略だと考えています。たとえば沿線の住民の方々とネットでつながり、個人がスマホで情報収集した内容をAIが分析して、その人の嗜好に合った商品やサービスを生活の中でタイミングよく提案できる仕組みなどもつくりたい。たとえばグルメ志向が強い方が、お昼時に新宿近辺にいらっしゃったとして、京王百貨店の名物イベントである全国駅弁フェアが開催されていたら、スマホに通知してリアルタイムで混雑具合までお知らせする。そんなサービスをお客様のプライバシーに十分配慮しながら提供できれば、きっと喜んでいただけますし、お客様も安心かつ快適に暮らしていただけると思うのです。
私たちが目指しているのは、お客様がオンラインとオフラインの世界をストレスなく行き来できるようになること。私たちが提供するデジタルサービスが日常生活に溶け込み、AIなどのテクノロジーの存在を意識することなく「京王沿線で暮らしているとなんだか幸せだ」と自然と感じていただけるような、そんな社会を実現したいのです。

自分がつくったものが、社会でどのように役立ち、
お客様を喜ばせるか。そこまで見届けられる醍醐味。

デジタルでお客様の生活を豊かにしていくために、京王グループが取り組まなければならないことは、まだまだたくさんあります。それをぜひ、これから入社される若いみなさんに託したい。デジタルネイティブ世代ならではの視点や感覚で、新たなサービスの創造に挑んでほしいと願っています。京王グループでデジタルサービスの企画開発に携わる醍醐味は、その成果を実感できること。沿線内でさまざまな事業を有しているので、AIなどのデジタル技術を切り口にして「こんなサービスがあればお客様に喜んでいただける」と自分が考えたことを実際に形にしてお届けできる。自分がつくったものが、世の中でどのように使われて、どのように役立っているのか、最後まで見届けられる。私自身も、そんな体験ができることに京王グループで働く大きな意義を感じています。

そして京王グループには、やりたいことを訴えればチャレンジさせてくれる風土があります。先ほどお話しした、電通大との協業による「感性AI」は2018年に起こしたベンチャー企業で、現在デジタル戦略推進部長と兼任で同社のCEOも務めています。いわば自らの想いやアイディアを事業化することも可能であり、これから参画される若い方には第二第三の「感性AI」をつくり出してほしい。若手社員が元気な会社は活力があると思います。さらに、京王グループの社員はみな「お客様のために何をすべきか」を第一に考えて行動しており、そのことも私は大きな魅力に感じています。昨今、新しいサービスを考える上で、ユーザーを理解して問題解決につながる発想をする「デザイン思考」が重視されていますが、京王グループはまさにそれを実践し始めています。デジタル技術を使って、京王グループという大きなフィールドの上で、お客様のために旧来のビジネスを変革していきたいという志をお持ちなら、きっとそれがかなう。一方で、変革には苦労も伴います。一筋縄ではいかないことも多い。それを成し遂げていくには「社会をより良く変えたい」「お客様の喜ぶ顔が見たい」という強い想いが必要です。そんな熱いマインドを持つ方が仲間になってくれることを、私たちは大いに期待しています。

※掲載内容は取材当時のものです。

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